金谷幸三流花伝の書5

和歌山のギタリスト金谷幸三による実践的ギター講座(SEO対策済)

■響きのゆらぎ■

ギターは余韻を楽しむ楽器。もちろん美音でのメロディー、攻撃的な奏法などいろいろ楽しみ方はあるでしょうが、
私が大切にしているのはその「はかなく消えゆく響き」なんですね。

こんなに美しい余韻だからこそ常に大切にしたいと考えているのですが、
今回はそのあたりから「ビブラート」についてお話ししていきます。

クラシックギターでは他の楽器と同じように左右・横に弦を揺らすことで微妙なピッチを音に足していきます。
いわゆるコーラス効果ですね。これによって空間的に膨らんだ音が得られます。
もともとは人間が大勢集まって同じ高さの音を歌っても微妙なピッチのずれは当然で、逆にそれをシミュレートすることで
大勢がユニゾンしているような膨らみを与えてるわけですね。
バイオリンなどの弦楽器、またはフルートなど管楽器もそうですが、多くのメロディー楽器(声もそう)のビブラートが音を高速に揺らすのは、
音が決して重なり合わない不備?を高速に動かすことで複数の音が干渉しているように聴こえさせるためです。
そこで力でもって弦を揺らします。

ところがギターは違います。
僕の考えでは、ギターにおいては共鳴音が音の形成に重要な要素であって、音そのものは響きの場から生まれてくるイメージなんです。
ですからそこに軽くピッチの違うものを入れてやれば、自然に干渉しあって震えてくれるのです。
例えばこれは、水面に軽く石を落としたイメージだとわかりやすいでしょうか?
けっしてお風呂を混ぜる時みたいな行為は必要ないのです。

チューニングするときに微妙に二つの音が狂ってたら揺れてますよね。それを共鳴音や響きを相手に利用するのです。

試しに、例によって2弦10フレット「ラ」の音でやってみましょう。低音開放弦に触れずにしっかりラを弾くと、例によって共鳴音が発生します。
その音に一回で構いません、押さえている指を左に揺らして高いピッチの音に実音を上げます。
その一回の動きで響きに波紋が起こるのが聴き取れましたでしょうか?

極端な話それだけでいいのです。煙がたつほど力いっぱい揺すらなくて大丈夫(笑)

次はその揺れの周期をコントロールします。左右にゆっくり優しく揺らしてください。うねりが感じられるはずです。
その周期は音が持つ周波数のラインをイメージしてください。低音はひろく緩やかに、高温は鋭角に激しく、あの波形イメージですね。
で、これがとても大切なんですが、
ギターは記譜音から1オクターブ低い音が出る移調楽器」だということ。
つまりジャンル的にはチェロとかと一緒の低音楽器だということです。したがってそのウネリは常に緩やか。
象の呼吸であって決してネズミのそれではないのです。
もちろん、そうなると音域によって揺らす速度は変えるのが当たり前になります。共鳴音の多い音とそうでない音でも違ったビブラートが
必要になりますし、
さすがに12フレット以上になると楽器自体が響かなくなるので高音域ということもあって「弦を揺らす」タイプを使ったりしますが。
こういうことをほぼ無意識にやってるんですね。

とまぁここまではビブラートの奏法です。ゆっくり試してください。

ただ実は大切なのはこの先なんです。ビブラートの効果について。

ギターが響くポイントや共鳴音を多く持つ音でビブラートをかけると極上の響きを得ることが出来ます。となるとこれは、本当に出したいときに取っておくべきなんですね。
何から何までビブラート掛けてたら価値が下がってくる。きれいな音なんだけど「飽きてくる」音、ありますよね。演奏自体もそうなんですが常に美感覚ってのは相対的なんですよ。
コントラストがあって初めて生きてきます。ですからココという時まで我慢です(笑)

そして実際に鳴らしていただいたらわかると思うのですが、その揺らぎは癒しそのものなんです。つまりビブラートをかけるときは、指ではなく手首や肘を軽く揺するように、ブランデーグラスを揺らすように、ツボをやさしくマッサージするように行います。
そして精神的にその音に安らぎを感じてください
これが大切です。
ビブラートをかけた瞬間、力は抜けリラックスモードになるのです。
そのことで皆さんのビブラートも聴く人を優しい気持ちさせること間違いなしです。

指や気持ちが疲れてきたらビブラートを是非かけて心身ともにほぐしてあげてください。
音楽にとってもいいことだらけです。

以上、金谷流「美しいビブラート」の作り方でした。