金谷幸三流花伝の書3

金谷幸三による実践ギター講座

■ごまかして楽をしましょう■

繰り返しますがレッスンでは次の「真理?」に基づいて進んでいきます。

1、ギターはそもそも不完全な楽器なので「あんまり無理をしない」。
どうせ完璧には不可能なことなら最初から完璧を目指さない、そのことに関して努力をしない。

2.ギターの音はすぐ消えていく。音そのものより消えゆく余韻(響き)を大切にする。ギターはそういう宿命を持った楽器なんだと諦める(笑)

これらが大前提。基本の基本的考え。

そして次に大切なこと。
前に人間は「ファジー」である、と書きましたがそれに関連して、

3.時間とは「過去の記憶と未来の予測のもとで成り立っている」!!!。

と簡単なことを難しく言う典型的な文章ですが(笑)

つまりここで言いたいのは実際に何が起こってるかではなく、刻々と変化する記憶の中でどうなっているかが大事。
例えば「え?それってさっき言いませんでした?おかしいなぁ、ちゃんと言いましたよ」と言われたら「あ、そうかもしれない。うんうん言ってた、と思う」という流れに持ち込めばいいのです。
そこに過去の記憶になる前段階「予測」の段取りをしっかり作っていると、いい意味での「思い込み」で勝手に脳内で物語が出来上がる仕組み。
例えば「おはようございます!」の内「おはようござい」くらいまでしっかりと自然に発音していたら、あとは小声でもにょもにょと「あふ」と言ったところで、記憶では当然のように「ちゃんと挨拶した」となるはずです。
この原理をまぁ演奏にも利用しようということです。

奏者の思うように予測させ、奏者が願うような記憶にすり替える
これは僕の演奏で一番大切にしていることです。人の心や呼吸、心拍数、付随する感情を操る、まぁほとんど詐欺師と同じやり方です(笑)
昔はやったメンタリストみたいなものでしょうか。

では前回でもやった「指のリリース」で実践してみましょう。

ギターは複数の声部を扱える数少ない楽器ですので、どうしてもそれぞれの声部を聞かせたい時があります。
でも不完全ですのでテクニック的に無理か、ひじょうにきつい労力がいる場合、スパッと諦めて上述の心理テクニックを使うことが有効です。
簡単に言うと、マジックの「ミスディレクション」

一つの音がどうしても繋がらず切れそうなとき、その近辺で別のほうへ注意をそらし、記憶の中で当然行われたものにしてしまうわけです。


前回でも使ったこの曲の場合でも、ごまかしたいあたりで別のもの、ここではアルペジオ伴奏に音楽的動きを与え、聴く人の注意を伴奏に移します。
そしてその間にこっそり指を離してしまう。
ただまったく手品と一緒で、その動きがぎこちなかったり不自然な音楽だったら目立って失敗しますが(笑)
大切なのはテクニックでごまかすのではなく音楽でごまかすこと。音楽表現が自然にできるスキルが必要です。
まぁそれが難しいのは分かっていますので、だからこそレッスンではそっちをお教えしたいのです。
無駄なギターのテクニックよりも(笑)
音楽が分かればわかるほどギターは楽になりますよ。

いずれにしてもギターでは3声あたりの対位法は弾けますが至難の業。実は2声でも厳格にやるのは大変です。
僕の演奏する対位法なんて、ほとんどこんな感じで弾いてますよ。
もちろんこれだけではなく、また別の機会に書く予定の

音を物理的につなぐよりも、音楽をつなぐ」これができれば一人前!

この考えが重要な役割を担うのですが、これはまたいずれ。