ギターや音楽のこと

ギターのこと音楽のこと

度忘れをなんとかせねば

まだまだ若い頃、フランス留学から一時帰国した折に、お世話になっていた教室の発表会にサプライズ・ゲストとして演奏。
カステルヌォーヴォ・テデスコのソナタ全曲でした。
2楽章の途中である音が思い出せなくなり、途中ワープを試みるも失敗(笑)。結局詫びを入れて弾きなおすことに。
たぶん今だと大した出来事でもないし、ほんの「かすり傷」で済ますのでしょうが、この「事件」が今でもトラウマになってることは確かです。
以後、演奏中、演奏前の頭の中は「度忘れしたらどうしよう」、この不安でいっぱいで音楽どころではありません。
ギター的な軽い曲や逆に超ムズの現代曲なら、ごまかせる自信?があるので少しはマシですが、バッハのフーガあたりは相当きつい。
もし演奏企画でバッハのフーガをリクエストされたら5万以下じゃ引き受けないですね(笑)

「度忘れ」。このいつどこで、しかも前触れなく起こるやっかいな現象。アガリ症とはまた違う対策が要りそうですね。
例によって、度忘れが起きたときに何をやってしまっているか。まずそこら辺を考察して自分なりの対処法を考えてみようと思います。

1.出来もしないことをするな!

出番を待っているとき、「ちゃんと覚えてるかな?」と頭の中で音や指使いをイメージして映像化して流していきます。
でも、これまでちゃんと出来た試しがありません。
え、最初のあたりの指どうだったっけ?え、え、何?忘れてる!!やば!!!
慌てて楽譜を見て確認。ほんと、できないのに本番前になると不安でやってしまう(笑)

そもそも物理的に5分の曲を演奏直前に頭の中で流してる時間が無い。当然です、5分かかりますから。それなのに不安だから慣れないことをやってしまう。
もちろん舞台に出て5分間瞑想されては聴くほうもたまったものじゃないし。
たとえ何とか舞台袖で5分作って集中して最初からイメージできたとしても、
今度は、出来た途端さっき5分前に弾いた音を覚えているか不安になる(笑)

もうキリがないんですよね。

「演奏前は覚えているかどうかなんて確認してはいけない」というより慣れないことを突然しない

2.緊急事態に際しては冷静に!

本番中、というか演奏中は常に音楽やテクニックの先読みが行われています。つまり突然忘れるのではなく、10秒ほど前に忘れていることに気づくわけです。
車で走っていて100メートル先に道路陥没を発見。見れば横にそれる道もない。。。死神が手招きしてるし!なんとかして思い出せばこの死神が消える!
実はこれが間違い。思い出せないから死神が出てるわけで(笑)。
こうなりゃ最小限の痛手で通過するしかない!自分のテクニックを信じて突っ込む!運が良ければ壁にミラーをこすりながら何とか回避、ふう。でもまぁこういう時に限ってりピート指定で2周目があるんですよね(笑)
でも大抵の場合は避けるほどの幅さえないシビアな、例えば前述のフーガなどがほとんどで、曲が複雑だともつれた糸の先がどこに繋がってるのか探す時間がないんですよね。
だから余計に慌ててしまう。
こうなると賭けに出て大破炎上するか、いさぎよく車を止めるかしかないわけで。
こういった判断を演奏しながら何秒間でやらなければいけない、
問題はこの「度忘れが発覚」したときにパニックを起こしてる、ということ。ここを何とかしたらいいかも。

3.弾きなす時は開き直るか、もう別の曲を弾きましょう

万が一止まってしまって、よく「最初から弾きます」とやる人が多いのですが(自分も含めて)、この時おそらく自分の経験で考えると
「どの音を度忘れしたかわからないまま」リスタートしています。ようするにあせったまま、パニック状態で原因を取り除いていない。
とまったのは運悪い事故だと思って済ませようとしてるんでしょうね。
結果、同じところで止まります(笑)。ただし何回も止まるわけにも行かないので、今度は諦念のジャンプを試みます。
「どうせ、もう傷物だし、恥もかいたし何を恐れることがあろうか!!」
開き直りです。それなら最初からあきらめていくべきですね。演奏は大破炎上しますが死にはしません。

弾きなおす時は、必ず次も忘れるものとして次善の策を考えること、これに務めたほうがよさそうです。
その曲を弾かない!というのも(笑)。

結論

度忘れするのはたった「一つの音」の時が多い。たとえば1000個の内の1個。999個覚えて弾けたことを褒めてあげましょう。
ただギターの場合だと、その音をどの弦でどの指で押さえるかというのがあって、それが崩れるとテクニック的に弾けなくなるんですよね。
運指というのがギターでは非常に重要なのは、この流れが無いと弾けない楽器なんです。
たった一音によって大の大人が頭を下げて謝り、打ち上げで寡黙になり悪酔いし、以後10年は引きずる事態に。。。。

とすると度忘れは起こるもの。そのつもりで付き合って「不運な事故」にしないほうがいいのでは。
自分自身、この度忘れの恐怖と闘ってる最中ですので答えはでませんが、
すこしずづ見えてきたので、次回はもう少しまとめてみようと思います。

DO YOU HAVE A TAB ?

Youtubeに動画をアップしていることもあって、とくに自分の動画の中で人気のあるケージ、ドビュッシー、パーセルの楽譜に関する問い合わせを頂きます。
ほとんど、というかすべて外国の方ですがクラシックの人は「楽譜はどこで出版されているか」と聞いてくるのに対し、おそらくアコギ系の愛好家でしょうか、「タブ譜があったらください」と直接的に利益供与(笑)を求めてきます。
例えば編曲したドビュッシーのベルガマスク組曲をタブでもし弾けるのなら、それはそれで凄いことなんですけどね。
ご用意したいところですが、残念ながら僕がタブ否定論者なもので、正直一行だけで要求してくるコメントは無視させていただいております。

そんな中、昨日は海外の著名な演奏家から問い合わせがあって、グーグル大先生の協力を得ながらやりとりをしました。
こういう出会いは人見知りの僕にとっては緊張しますが、素直にうれしいですね。Youtube やGoogle先生さまさまです。
今回はパーセルの楽譜に関してでした。
こちらはHoma Dreamという出版社から出ていますが、いま現在その出版社が存在しているのかどうか。
とりあえず、そこに問合せするか、ギター楽譜を扱う東京の楽器屋さんの通販サイトを見てもらうよう、慎重にしています。
実際、この編曲に関する権利関係がよくわかっていないので(苦笑)

やはり僕の編曲をコンサートで弾いてるかたを見つけると嬉しいものです。いつかそんな動画が見つかりますように。。。
このサイトでもいくつかフリー楽譜(PDF)置いていますので、ぜひ著名ギタリストの方弾いてください。
それによって僕を有名にしてください!!(笑)

レッスン規約改定

これまで常識的な判断を期待して「曖昧に」してきた教室のルールを今後は正式に明文化していきます。特に月謝などお金のこと、休みのことをしっかりしておかないと要らぬトラブルのもとになりかねません。
とは言え「甲乙」形式では難しすぎるので、できるだけわかりやす内容を目指します。

草案:
1.月謝を「基本時間維持料」と「レッスン料」に分ける。
つまり休日保証に月謝の何パーセントかを支払っていただく形と同じに。たとえば来月いっぱい休む場合は「維持料」とともに申請していただく。
申請が無い場合は全額を請求します。

2.退会は原則1か月前に申請。「時間維持料」を1か月分支払っていただくことで退会できます。

3.レッスン料は「セット割引」が適用されているものとする。2回より3回レッスンのほうがお得になる分、単純に分割できない。
例えば月2回コースの方が、今月は1回しか来れなかったので半分だけ払うということを防ぎ、月1回コースの料金を頂きます。

4.レッスン料は銀行振込またはオンライン決済にする。

5.強制退会処分の定義づけ。

6.いかなる返金にも応じられない旨を明記。(教室側の過失を除く)

などなど、まだ草案段階ですがこうすることでこれまでのようなトラブル(ほとんど泣き寝入り)を防止できればと思います。

Hoshino 11 Strings Guitar 1983

金谷幸三といえば「11弦ギター」、と人様に噂されるまでにはまだまだ時間がかかります。
そもそも11弦ギターとは?
取材とかで必ず聞かれる質問ですね。

英語wikiを見てもあまり詳しくは書かれていません。ウィキはこちら

歴史的には、50年ほど前ルネサンス・リュートの代用としてスウェーデンで製作開発され、名手・G.セルシェルの名演によって世界に知られることになった楽器。
補足するなら、日本でも80年代にセルシェルとともにブームとなり、演奏する愛好家も増えたようですが、リュートをイメージするとバロックを弾くには「音が派手、サスティーンが長い」といったデメリットがあり、では普通にギターとしてイメージすると「甘みや色気」にかけ、重要なレパートリーであるスペインラテン系に合わない。
そして多弦ギターに付き物の「消音」技術の難しさから、時代とともに使われなくなっていった楽器なのです。

そこで意識や視点を変えてみました。
つまり、リュートの代用ではなく「新しい楽器」として捉える。ハープやカリヨンのように響かせ続ける楽器として。
私がケージを編曲し11弦で弾くのはそれを実践するためです。
響くと言っても、ピアノやオルガンのようにいつまでも鳴ってるわけではなく可愛いものです。それをあえて消音することもなく、そういう楽器だと思えばいいのです。
そうすることで、この見向きもされなくなった楽器に新しい価値が生まれました

チューニングは通常のギターより短三度高く1弦から順に

G – D – A – F – C -G -F – Es – D – C – B

というリュート調弦が普通とられますが、新しい楽器ですので何でもいいのです(笑)
私の場合もリュート局を代用で弾く以外は3弦をBにしています。

使用する弦はよく比較される10弦ギターとが違い、弦の長さで調整しているので6弦より下は市販の「6弦」を使用します。

1・2・3・4・5・6・6・6・6・6・6。

実際の演奏はこちらをご覧ください。

A=415hz

ここ数年、古楽を専門にされている方との共演を重ねているのですが、ギタリストとしてよく理解できないのが標準ピッチのことです。
現在のチューニングにはA=440-442hzが国際標準ピッチとして認識されています。これは時代とともにコンサート会場で楽器の音量を上げ、とくにオーケストラでの音圧を稼ぐために使われだしたものですので、
逆に時代をさかのぼるほどピッチは低くなっていきます。19世紀にはヴェルディアンA(ヴェルディが多用していたらしい)A=432hzでしたし、それがバロック時代になるとちょうど半音低い415hzまで下がります。

つまり現在の音より半音低く聴こえていたわけで、これは理解できます。
しかしこれは単純に半音低く移調すればよいだけのことですよね。

ギターでは機能性の問題でかなり調性が制限されます。低音を使いやすくするためにE-A-Dなどシャープ系を得意とし、フラット系は響きを損なうのでほとんど使われない傾向があります。
もし作曲家が大好きな変ホ長調(♭3つ)で書いてきたら、ギタリストは必ず「なんとかニ長調にしてもらえませんか」と頼み込むはずです。なぜならそのほうが響きも良く、弾きやすい、つまりギターはそういう楽器だと知っているからです。

移調しなければ弾けない、アレンジしなければ何もできない、そんな楽器であるギターにとって「原調主義」などそもそも無縁の世界なんですね。正直何に拘ってるのか全く理解できない人も多いのでは。
バロック音楽の時代、ギターはスペインの民族楽器でしかありません。当時は撥弦楽器としてはリュート、鍵盤楽器でチェンバロが全盛で、いずれにせよギターで弾く場合は「編曲」するわけで、その際に調をギターに弾きやすく移調することは当たり前なんです。

奏法的にも、リュート調弦は今のギターより短三度高くチューニングされますが、バロックピッチと言うことで長2度にすればいいだけ。もしカポタストを使用するなら1フレットずらせばいい。

もしリュートで演奏するのなら、カポタストとかありませんから最初のチューニングの基準音が大切なんだということはわかります。でもギターだとどうでもいいんですよ。
ところが、ここで弦のテンションを緩めることで「バロック時代を彷彿させる落ち着いた音」になる。とおっしゃる向きもある。
でもね、20世紀に入って進化した今のナイロン弦、ギターサイズで半音下げるとね、楽器が鳴らないんですよ。
なぜなら440近辺で最高のパフォーマンスが得られるように計算してますからね。

それはお前が使ってる楽器が安物だからだろ!とか、
そもそもギターでバロック音楽を語るな!とか
だからギターは!うんぬん。

まぁおっしゃる通りなんですが(笑)。

ピッチにしろ、原調主義、オリジナル楽器主義など、古楽の人たちの「コダワリ」。
昔の人はこういう音を聴いていたんだなぁ、というのはロマンですが、それは
「今見ている星の光は1億年以上前の光なんだよ」と言われている世界とおなじように感じてしまうのです。
別にそれが悪いとか、そういうのではなく。その先「その光を300年前の天体望遠鏡でみるのが通」とか言われると。