花伝の書

アガリとの戦い

生徒さんの中にどうしても人前で緊張して手が震えてしまう、と言う方がいらっしゃいます。
もちろん皆さん緊張されるわけですが当の本人にとって「みんなそうだよ」というのは何の気休めにもなりません。

私自身、極度のアガリ症に悩み続けて来たからわかることもあって、なおさらのこと悩んでる人を何とかしてあげたい気持ちが強いのですね。
そこでいろんな処方箋(ネット上の情報も含め)をお試し情報として話すのですが、最近、「結局これがすべて」じゃないかなと考える要因・対処を改めて書いてみます。
もし、私のブログ読者で同じ悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度試してみられてはどうでしょうか。

1.別の記事でも書いたことですが、まず「笑顔」。舞台袖、そして入退場、演奏の終わりにとにかく笑顔を意識的につくる。精神的に余裕を持つため、そして顔の筋肉の緊張をほぐす意味もあるのでぜひお勧めです。
かといって舞台袖や楽屋で「ヘラヘラ」してるのも気持ち悪いので、まぁ顔の筋肉ストレッチだと思って。

2.緊張するときはどちらかというと「神経質」「ナーバス」な精神状態です。そして負のスパイラルに自分を追い込んでいこうとしています。「間違えたらどうしよう」「下手だと思ってるんだろうな」とか。
この状態、第三者から見ると「元気なくクヨクヨ」しているわけで。
とするとこれも意識的に元気になる、つまりカラ元気でもいいから「元気な人がやりそうなこと」をあえてやってみる
楽屋で腕立て伏せとか(笑)本番までちょっと軽く走ってくるわ!とか。逆をやってみてはいかがでしょう。

3.これは小さな会場とかで僕が経験することなんですが、ちょっと緊張をほぐそうと気の利いた「おしゃべり」をアドリブで入れてみる。でそれが見事にオオスベリしたときの地獄。そのあと自分のタイミングで演奏するのは至難の業です。穴があったら入りたい、その場から逃げ出したい、顔が紅潮し、つまり血圧が上がり「あがり症」そのものの症状。教訓。メンタル弱い人はアドリブするべからず!しゃべりも演奏と同じくらい練習と準備が必要です。

上の1と2がすべてじゃないかと思います。あとは集中力を高めたり、緊張をほぐすことをルーチン化したり。
いろいろ都市伝説オカルトも含め試してみてください。

すこしでも皆さんの「アガリ」がなくなりますように。

金谷幸三流花伝の書16

和歌山のギタリスト金谷幸三による実践的ギター講座(SEO対策済)

■表現へのご招待■

ギターも上級になってくると次のようなことを考えたことありませんか?
たとえば人に「上手ですね」と褒められたとき、自分はただ先生の言う通り弾いてただけ、
自分が褒められてるんじゃない・・・

そう、自分のアイデンティティに疑問を持った時、その時こそいよいよ音楽を自分で創り上げる表現の世界へと踏み出したのです。

細かな臨床は花伝の書後半に譲るとして、ここでは簡単に何をしようとしているかを説明します。
音楽表現とはとりあえずどうすればいいのか?そういうことです。

1.パラメーターを知る

音を構成する要素は大きく分けて5つあります。

高さ:いわゆるドレミ
長さ:四分音符とか
強さ:フォルテとか
音色:フルートとかバイオリンとかの違い
位置:現代作曲家によって新たに付け加えられた要素。パニング。

一方、表現のための変化するパラメーターは、つまりこれを動かすことで表現が決まるのですが、

ディナーミク:音量の変化。クレシェンドなど
アゴーギク:時間の変化。リタルダンドなど。

この二つを曲線(ベクトルライン)使ってフレーズとかに表情を付けるわけです。

2.人の顔で考える

分かりやすく人の顔に置き換えると、目や口、鼻といったパーツが「音」ですね。
目の色や、鼻の高さなどでそのもののキャラクターを作ります。

表現とはその顔に表情を付けること。
目や鼻がなくなったり位置が変わるのではく、目じりを上げて起こった表情、口角を上げてかわいくしたり。
しわを足したりして年齢の変化を付けたり。
いやその前にお化粧でもして存在をアピールしましょう。アイラインで目を強調したり、口紅を厚めに塗って色気を出したり。

3.形容詞や副詞の語彙を増やす

「あなたは泣いています」それは次のどれが原因ですか?
悲しくて泣いている。寂しくて泣いている。嬉しくて泣いている。怖くて泣いている。etc.

おそらく、この違いは顔の表情や仕草で判断されるはずです。それぞれの表情が思い浮かびますか?
では実践です。
そのそれぞれの状況(映像)にBGMを付けるとしたら?
ただ「泣いている」という動作から様々な物語や音楽が生まれてくる。これが表現です。

寂しいとき、流れる音楽は大きい音なのか小さい音なのか(ディナーミク)。
寂しい時の体の所作は「素早いのですか」それともゆっくり?(アゴーギク)

4.様々な言葉のイメージを持つ

音楽用語、そのほとんどは特殊なものではなく日常に使う普通の言葉です。
イタリア語やドイツ語になじみがないだけで、普通の会話なんです。

例えば小さな音を要求してくる用語で次の3つのイメージの違い。
学校で教わる日本語訳ではすべて「静かに」ですが、実際は違います。

カルム、トランキーロ、セレニテ
カルムは音そのものが小さい様子。
トランキーロはトランキライザー、つまり鎮静。精神的に穏やかな様子。
セレニテは波が静かで平和な様子。

皆さんにとって上の写真はカルム?トランキーロ?

こうした言葉からダイレクトにイメージする力が大切です。

とまぁざっくりと進めてきましたが、実際にそれを表情ベクトルだけでどう作り上げていくかは追々、その機会をお楽しみに。

金谷幸三流花伝の書15

和歌山のギタリスト金谷幸三による実践的ギター講座(SEO対策済)

■アガらないための処方箋■

人前で弾くのはどうしても緊張して、上がってしまいますよね。
実は僕自身、嫌になるほど「あがり症」でして、人前に立つ仕事に全然向いてないんです。
そもそも人に面するだけで不安と緊張でドキドキする「人見知り・対人恐怖症」ですから(笑)
知らない人に電話するのも苦手、会うなんてもってのほか。
そんな僕でも、とりあえず舞台で一人きりにならなきゃいけないわけで、それはもう大変でした。

今回はその経験から、アガリを軽減する方法を書きたいと思います。
「かならず緊張するもの」だから「軽減」です。

実際、理屈はわかりませんし、あくまでも個人的な経験ですので参考程度にお読みください。

1.深呼吸

よく言われる方法です。
ただ、これを舞台袖でいくらやっても効果はそれほどではありません。もちろんルーチンとして方法や回数を決めておくのはけっして無駄ではないと思いますが、
それよりも舞台に出てお客さんの顔を見渡してから深呼吸するほうがいい。
まな板に乗る前からあれこれ考えるのが良くないわけで、乗ってしまってから観念するというか(笑)

呼吸に関するものでは、とにかく鼻呼吸がお勧めです。
舞台袖では口に水を含む(のどの渇き対策+火照った頭部を冷やす)ことで自然と鼻呼吸になります。
僕の場合は直前まで口に含んで飲み干しながら舞台に出るようにしています。

2.口に何かを含む
上述の水もそうですが、ガムも効果的です(後述する理由のためアメよりも効果的)。口の中っていうのは生き死にに関わる食を感知する場所なので、おそらく無用な(カッコよく見せたいとか、恥をかいたらどうしようとか)どうでもいいことに向かっている意識が自然に口に分散するというか。そういう効果があるようです。(他の理由は後述)

3.顔の筋肉をほぐす
とにかく無意識にこわばっています。とくに顎関節と目のあたりですね。眼球ストレッチと口を思い切り開ける動作が効果的です。
腕や肩、首よりも顔。そしてついでに股関節。

4.未知なるものをなくす
リハーサルとかがあるのでしたら、実際の音の返り(聞こえ具合)とピアニッシモが聴こえるか(これは力まなくても大丈夫と言う安心を与えます)確認、そして椅子までの歩数を数えておきます。
この歩数は本番同じ歩数で椅子までたどり着いてください。これによって、すでにこの舞台に立っていた経験があると思いこませるわけです。
(これをやり遂げたことでひとつの達成感が生まれるというのもあるようです)。
曲の練習なんかより、リハーサルではそういうことをやったほうが良いですね。
さすがにゲネプロは進行の時間を図るのでスタッフのためにも弾いたふりは必要ですけど。
未知なものに対する不安をなくすということです。

こんな顔で舞台に出ないで!

5.舞台上から客の顔を見る
ここからはお客さんとの対話です。僕は必ず笑顔で舞台に出ます
これは顔の緊張をほぐしているのと、舞台は自分にとって楽しいものだと思い込ませるためです。
そして、一礼する前にお客さんを見ます、左右前後2階席まで。この段階でお客さんが少ないとさすがにテンション下がりますけど(笑)
お客さんの顔が見える小さな場所では、優しそうな顔をしているお客さんを探してください。必要なら知り合いを仕込んでおくのもいいでしょう。
そしてその人のために弾いてあげる気持ちを持つのです。
苦虫をかみつぶした顔で見ているお客さんは無視しましょう。
発表会などを見ていると緊張のあまりこわばったまま登場する人がほとんど、その逆をやって下さい。見ている人まで緊張してしまいます(笑)

6.演奏中
なぜか演奏中に突然、緊張しだす時があります。自信が無いところはそうですよね。その時は結果的に、なにか姿勢のバランスが崩れたり筋肉がこわばり始めてますので、顔の筋肉と股関節を動かしてみるといでしょう。
それと顔の向きを普段とは逆の方向へ向けてみたりします。このことで聴いてる耳が変化して脳への伝達に影響するようです。
それと大事な頭部を動かすということで上述したように無意識に無駄なことが分散されます。

6.三半規管を探れ

とまぁこれだけではないのですが、これまでの経験上どうやら、アガリ軽減のポイントはどうやら三半規管にあたりにあるのではと思います。
顔の筋肉、目の筋肉もあるのですが、水を含むと耳の聞こえ方が違いますよね。ガムをかむと顎の関節が動くのですが耳に影響してますよね。
鼻呼吸もそう。ヘッドホンをすると集中するのと同時に聞こえ方が内向き(骨振動っぽく)になっていくのも、なにかそこらへん耳の奥あたりにあるような気がしてならないのです。

股関節や中心を意識して体幹のバランスを整える、頭部の機能をフル回転してやはりバランスを整えること。
これが「あがり症」軽減につながるのでは。

7.死にはしない!
最後にはこれ。
アガリすぎて舞台で死んだ奴ぁいない(笑)

以上、ご参考までに。

金谷幸三流花伝の書14

少し話が基礎から飛んで、後ろから数えたほうが早い内容です

レッスンでは上級者以上の生徒さんに対してかなり音楽的な表現というものを勉強していただいています。
ワンフレーズでいうと「いかにそれを表現するか」。
究極の目的ですね。
で、実際にこれを体得理解した方のみ「金谷幸三門下免許皆伝」と相成る次第です。暖簾分けも致します(笑)

さて、その表現に関して常々お話しているのが

実践的理論!

ちょっと専門的で難しいかもしれませんので、ここでは軽い気持ちで読み進めてくださって結構です。
ただ上級レッスンでは徹底的にご指導申し上げております(笑)

机上のお受験対策、知識マニア向けの音楽理論を知ってたところで頭でっかちなだけ、なんら自慢にもなりません。
まぁ日本の教育だとそこから抜けることは無いのでしょうが、大学レベルでもいまだに・・・ですからね。
もしこれから話すことがわからなくても、それは仕方ないかも。

別の記事でも書きましたが、例えば拍子記号。これが「小節内に四分音符が3つ」なんて考え方が音楽にはなんの関係もない
くだらないことだと書きました。覚えていますでしょうか。
なんとかそこを乗り切って「3拍子で弾くんだ」と理解したとしましょう。
さぁ、ここからが実践理論「どう演奏すれば3拍子が表現できるんだろう」へと繋がっていくわけです。
ただ、まだこれはほんの入り口、

次にこの世にあるいろいろな「3」をどうイメージしていくのか。
聴いている人に「あ、これは3拍子の曲なんだ」と思わせても仕方ないのです。聴き手の「頭でっかちな知識」を呼び覚ましただけで、
これまた音楽とは程遠く、学者の世界です。

大雑把に言うとまずワルツやマズルカなどの踊りの違いとかがあります。(ただ単に世の中の3角形を想像してもいいです)。
踊りが違うんだから表情も違うはず、振付が違うはず。
まずはこのレベル。
そしてここからが大切。
この曲においてなぜ作曲が3という数字を選んだのか、想像する必要がある。
そうすれば、同じワルツでも
「軽快な社交的ワルツ」「優雅ながら孤独なワルツ」「悲しみに暮れた不安なワルツ」など様々な形容詞とともに状況を
「創る」ことが出来ます。

そして、その創り上げた情景を聴き手にイメージさせるにはどういう演奏の選択があるか

これが「音楽表現」です。

つまり拍子記号を見たときに「何を伝えようとしているのか」さらに「これをどう表現するか」。そこまで考えてください、
というレッスンです。みなさんお疲れ様です(笑)

しかし何度も苦言を呈しますが、この「数えれば終わり」という表層的な教育によってアーティストとして大切なものを失ってしまっています。
日本人こそそこに気づかないと!

別の例で考えてみましょう。

たとえば「音程」。インターバルですね(あんまり音楽用語を英語でいうのは好きじゃないんですが)。
「次の二つの音の音程を答えなさい」


楽典をかじったことのある人だったらわかりますよね。そう「数えればいいのですから」。
得られる答えは「減五度」。

で、だから?(苦笑)

実践理論で大切なのは、
1.なぜこの場所に、作曲家は多くあるインターバルのうち減五度を選んだか?
2.それによって得られる効果は何か?(何を伝えたいのか)
3.それを表現するため、その音程はどう演奏されるべきなのか(ディナーミク・アゴーギク・間など)
4、その表現によって聴き手の心をコントロール(想う情景をイメージさせたり)できたか。

さらに知るべきなのは
調性音楽において「すべての音は他者(周りの音)との関係で成り立っている」。これ大事!

ですから先ほどの減五度も、直前に何の音程があるか、単音なのか和音なのか、そもそもその調においてどのくらいの重要度なのか、
などによって表現がそれぞれ変わる。変わらなきゃおかしいのです。

アコギの方にもわかりやすい例でいいますと、
ドミナント7thのコード、まぁ「終止形における属7和音の役割」と言えば難しいんですが(笑)、
そのドミナントがなぜ大事かと言うと(T.D.SDとかとく使うと思います)その性質が、
調性においてトニック(主音)への回帰再現を強烈に望む音だからです。だからC-G7-Cってのが自然に使われる。

さぁここまでが知識です。

実践理論では、ドミナント7がそういう性質であるなら、それが目立てば目立つほど「回帰したい期待は高まり」、
トニックに戻ったときの「安定感」がさらに大きくなるわけで、となるとこの音はミスするわけにはいかない。
少しテヌートさせて焦らしてみるか、とか、大げさに弾いてみるかとか。
表現テクニックはいろいろあるでしょうが、この音は周りに埋もれさせてはドミナントを使う意味がないということ。
強く弾くなり、アクセント入れるなり確実に演奏する。

そうすることで初めてトニック前にドミナントを入れてきた理由が分かるのです。

これが実践理論

今述べた終止法なんかもすべてこれ。
形式学も和声学も対位法もすべて、時にはタイトルまで、それがどう表現に直結していくか。

楽譜に書かれていることを読み解くとはこういうことなのです

金谷幸三流花伝の書13

和歌山のギタリスト金谷幸三による実践的ギター講座(SEO対策済)

■爪はバイオリンでいえば弓、ボーカルでいえば声帯■

他の教室ですでに習われていた方や、独学の方をレッスンすると、もちろんタッチをよく理解されていないのは
仕方ないとしても、意外と爪に無頓着な方が多かったりします。少し手入れすれば全然違う音が得られるのに、です。
聞くと磨き方を知らない方も多くて愕然とします。

爪はギターの音を出す大切な道具。(しかもほぼ無料)
爪に無頓着ってことはすなわち、
バイオリンやってて今まで弓を使ったことないんです。フルートって口で息を吹き込むんですか?
みたいなレベルが横行しているわけですね(とほほ)。

さて他所様はともかく今回は爪を磨いてみましょう。
僕がお教えしてるポイントは、

1.「できるだけ自然な形」です。
ギターを弾くからと言って日常に影響が出るような爪の形はするべきじゃありません。そして「爪は割れるもの」。
ですから日常で割れにくい形が必要だと思っています。
いくらいい音が出ても日常で割ってばかりだと美音も何もないですからね。
既存の解説にあるようなものは「炊事洗濯もせず」一日中ギターを弾くことのできるマニアに任せておけばいいのです。

2.「左右対称、常にRを持たせる」
上述したようにイビツな形は割れやすい。そして「円」こそが最強の考えで、丸くなめらかな形を目指してください

3.「必要最低限の長さで」
爪の生え方や反り具合にもよりますが、基本的に手のひらから指を見て指先の肉を親指でギュッと押さえてみます。
この状態で爪が少しでも見えていれば、しっかりタッチしたときでも同時に爪に弦を当てることが出来ます。

4、弾く前に必ず爪の手入れを
傷のある爪で弾いていると汚い音がするばかりか弦にも傷がついて消耗します。弦に当たる面の傷をなくす磨き方をしてください。

爪の形はタッチとかなり密接に関わってくるので、今回は磨き方とおおよその形だけの説明です。
指の形にトラブルが少ない場合、基本1の左右対称形を選びます。
どりらかに山が偏る場合はそれに応じてトップをずらします。がこの時、直線を作ってしまうと
弦に対する負荷がなくなり、結果的に良い音が出ません。

美音を出すポイントは

爪の当たり始めからトップに抜けるまでの距離が長ければ長いほど太くしっかりした音が出る

直線を作るとここは「滑るだけで」無いも同然なんですね。

いろいろと図と動画を参考にしてみてください。

図2.爪の削り方チャート(動画でも解説)



スマホからはもしかしたらこちらのBGM無しバージョンでないと無理かも。
https://youtu.be/OYmuJ8lUFhI